屋久島山岳部におけるし尿処理の現状と今後について
1.屋久島山岳部のトイレの現況
屋久島山岳部には主要登山道沿い、避難小屋を中心に、様々な処理方式のトイレが整備されています。また、常設トイレの維持・管理の負担を軽減するために、携帯トイレブースの整備も進められています。

図 屋久島山岳部に設置されているトイレの位置図
各トイレの特徴や現況等は以下のとおりです。このほかに荒川登山口、淀川登山口、白谷雲水峡入口、ヤクスギランド入口には、簡易水洗のトイレがあります。汲み取り式はし尿の全量、コンポスト式や浄化循環式、土壌浸透浄化式はし尿の一部が汚泥として残り、それらは人力やトロッコで里まで運び出されています。
表 屋久島山岳部に設置されているトイレの特徴と課題

2.トイレに残されたし尿のその後
現在の日本では、山でもトイレがあるのは当たり前になりつつありますが、水も電気も道路もない屋久島山岳部でトイレを維持していくには大きな苦労があります。
屋久島山岳部のトイレは、関係行政機関や地元のガイド事業者、企業等によって、清掃作業やし尿処理などの維持管理が行われています。しかし、厳しい気象条件や利用状況などから、トイレの頻繁な故障や維持管理の労力、費用面などの様々な問題が生じています。特に、トイレに溜まったし尿は、人力やトロッコ、ヘリコプターなどで里まで運び出されており、大きな労力、費用がかかっています。


し尿搬出の様子(左)、大株歩道入口トイレの混雑状況(右)
3.山岳部のし尿処理に必要な費用
屋久島の美しい自然環境と清らかな水環境を保全しながら、みなさまに安心で安全な自然体験を提供するため、来訪者のみなさまには「世界自然遺産屋久島山岳部環境保全協力金」にご協力をいただいています。
いただいた協力金は、山岳部のトイレや登山道等の整備や維持管理に活用していくことを目的としています。しかし、実際には協力金のみでは本来賄いたい金額までに至らず、運用にかかる事務経費や登山道整備等の事業は、行政予算など協力金以外の財源で実施している状態です。

図 協力金の収受とその支出先の状況
4.屋久島山岳部のトイレの今後
こうした現状を踏まえ、屋久島の島内関係者で「今後の屋久島山岳部におけるより良いトイレ・し尿処理の方向性」をとりまとめています。
屋久島で30年以上にわたって大切にされてきた「屋久島憲章」や「屋久島環境文化村構想」で掲げられている「共生と循環の島」、「水環境の保全」の考え方を前提とし、島に関わる多くの方々と連携していくことで、屋久島らしい課題解決を目指しています。
また、し尿処理適正化に向けて、個別の取組(案)を整理しており、実施に向けた検討を進めています。

表 し尿処理適正化に向けた個別の取組(案)一覧

5.みなさまに協力いただきたいこと
屋久島の豊かな自然と水環境を保全していくために、協力をお願いしたいことがあります。3つの対象別に紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
